令和6年2月定例会 予算特別委員会で質問しました

広島県議会令和6年2月定例会「予算特別委員会」で、公約である「経済を守る」「子どもを守る」「環境を守る」の3つのテーマに沿った質問をさせていただきました。
以下に、質問させていただいた内容の要約をお伝えします。
これからも住み良い広島県を実現していくために尽力してまいります。皆様からのご指導ご鞭撻をお願いします。

目次

1 半導体産業の大型投資への対応と新たなまちづくりについて
2 若者の流出対策について
3 持続可能な農業の実現について
4 治水対策の推進について
5 南海トラフ地震等の災害に備えた県土強靱化の取組について

質問原文リンク:広島県議会 質問者別質問事項(山下 守)/外部サイト

1 半導体産業の大型投資への対応と新たなまちづくりについて

(1)半導体関連産業の集積に向けた戦略について
大型投資の受け入れと産業集積促進
マイクロンメモリジャパンの大型投資を受け入れた際の具体的な戦略や取り組みについて。
投資に伴う経済波及効果を広域的に促進し、半導体産業の集積を推進するための計画や施策は何か。
 
技術革新と競争力強化
半導体関連技術の革新とその競争力向上のために、広島県がどのような支援や取り組みを行っているか。
デジタル技術やAIなど、付加価値の高い分野での技術力向上に向けた具体的な戦略やプランはあるか。
 
産業集積を核とした新たな構想
広島県が半導体産業の集積を核とした新たなまちづくり構想を描く際に、具体的な方向性や計画について。
関連企業や研究機関との連携を強化し、半導体産業を中心としたエコシステムの構築を目指す考え方や戦略はどのようなものか伺う。

答弁者:湯崎知事

半導体関連産業について、広島県は「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョンアクションプラン」で成長産業の一つと位置付け、拠点性の強化や関連産業の集積に重点的に取り組んでいます。これには、新たな工業用水道や道路の整備、人材育成・確保、生活環境の整備、そして半導体企業と地域企業のビジネスマッチングなどが含まれています。今後も地元自治体や関係機関と連携し、半導体関連企業の活動を支援し、集積を促進していきます。

(2)東広島市のまちづくりへの協力について
東広島市と広島大学の「Town&Gown構想」における半導体産業の受け皿づくりと基盤整備について、広島県の協力が必要とされている。具体的には、土地活用や道路計画などの基盤整備における県の役割と支援方針、そしてこれらの取り組みが広島県の活性化にどのように貢献するか伺う。

答弁者:湯崎知事

東広島市の「次世代学園都市構想」に基づき、広島大学との連携で「Town&Gown」を推進しており、イノベーションの育成、グローバルな生活環境の整備、人材育成に取り組んでいます。広島県も、この取り組みを全体的な発展に寄与するものと捉え、半導体研究機能の強化や外国人材の誘致を支援するため、魅力的な居住環境の創出をサポートしています。具体的には、広島大学周辺エリアの将来ビジョン策定やエリアデザインの検討を行い、広島大学スマートシティ共創コンソーシアムを通じて事業化に向けた基礎的な調査・検討を支援しています。

(3)新たな産業団地整備について
新たな産業団地整備に関して、東広島市が半導体関連の大型投資に連動し、市営産業団地の整備を進める中で、県の支援も必要とされている。具体的には、東広島市の未利用県有地の状況や新たな産業団地の必要性について知事の見解を伺う。

答弁者:湯崎知事

産業用地の確保は企業の誘致と投資を促進するために極めて重要であり、県、市町、民間事業者など様々な主体による確保を進めています。県営産業団地の新たな造成では、将来の税収などを考慮し、検討を行っています。東広島市内の未着手用地については、入野地区と福富地区があり、幅広い利活用策を検討中であり、企業ニーズを考慮しながら連携して検討を進める方針です。

(4)半導体関連産業の設備投資に伴うインフラ整備について
半導体関連産業の設備投資に伴うインフラ整備について、広島県が国の支援制度を活用し、関連インフラ整備を推進する必要性があると認識している。しかし、広島県が他の地域と比較して交付金の配分額が少ないこと、特に道路整備において県の積極的な対応が必要であるとの考えがある。知事の御所見を伺う。

答弁者:湯崎知事

半導体生産拠点周辺の道路整備について、今年度から国の新たな支援制度を活用し、一般国道375号の4車線化や県道吉川西条線の拡幅などの事業を加速しています。引き続き、早期完成を目指し、東広島市と連携しながら、半導体関連企業の拠点性強化や関連産業の集積を促進していきます。

2 若者の流出対策について

若者の流出対策について、県内の転出超過が3年連続で全国最多であることを受け、本県の持続的な発展のためには、若者の県内定着やUIJターンを促進する必要がある。来年度、県はどのように就職先の確保や企業誘致に取り組む予定か伺う。

答弁者:商工労働局長

県は、デジタル系企業を中心に企業誘致に注力しています。オフィス賃料や通信料の支援などの助成制度や「Hi!HIROSHIMA」などのイベントを通じて魅力を発信し、先端・成長産業の誘致も重視しています。これまでの取り組みで146社の拠点が設置され、若者に魅力的な働く場が創出されています。来年度には、若者の転出要因を分析し、より効果的な施策を検討してさらなる誘致を目指します。

3 持続可能な農業の実現について

(1)集落法人への支援について
農業の持続・発展のためには、担い手の確保と所得向上の支援が必要。広島県は、生産性向上や新たな担い手の確保に取り組んでおり、集落法人の支援も行っている。しかし、後継者不足の問題も深刻化している。そこで、経営の継続や後継者問題に不安を抱える集落法人に対して、令和6年度はどのような支援を行うのか伺う。

答弁者:農林水産局長

集落法人の経営不安に対処するため、令和6年度では以下の支援を行います。

1.収益性向上に取り組む法人への支援
・新たな品目導入のための施設や機械の整備支援
・スマート農業技術の導入支援
・機械の共同利用による省力化、低コスト化支援

2.地域外の担い手との連携を模索する法人への支援
・農地集積を進めるための農地中間管理事業の支援
・法人間でオペレーターを融通できる仕組みづくりの支援

これにより、地域農業の維持・発展を支援し、集落法人の経営の安定化に貢献します。

(2)荒廃農地対策について
令和3年1月の農林水産省の調査によれば、荒廃農地の主な理由は自然条件の悪さと所有者の高齢化や病気などが挙げられる。約7割の市町村が5年後に荒廃農地が増加すると予測している。荒廃農地は周辺農地に悪影響を及ぼし、解消には多額の費用がかかるため、適正な管理が重要。農林水産局長には、荒廃農地の発生を防止し、優良農地を確保・維持するための取組について伺う。

答弁者:農林水産局長

県の農地政策では、担い手への優良農地の集積と地域全体での農地・農業用施設の保全活動を一体的に進めています。担い手への農地集積では、農地中間管理機構を活用したマッチング支援を継続し、地域ぐるみの保全活動では省力化技術の導入や広域的な体制づくりを支援しています。特に令和6年度には、地域計画の策定を円滑に進め、実効性を高めるために積極的に関与します。県は市町村や農業委員会、関係団体と連携し、荒廃農地の発生を防止し、優良農地を維持するための効果的な対策を講じます。

(3)鳥獣被害対策について
農林水産省の調査によれば、野生鳥獣による農作物被害の約7割がシカ、イノシシ、サルによるもの。被害は営農意欲低下や耕作放棄、土壌流出などにつながる深刻な問題。近年の被害額は約4億円前後だが、新たな支援組織の活動により減少が期待される。そこで、野生鳥獣による農作物被害額の減少を加速させるため、令和6年度の取組について伺う。

答弁者:農林水産局長

来年度の本県の鳥獣被害対策では、中間支援組織を中心に、戦略的かつ広域的な活動を展開します。具体的には、5つの市町が参画し、地域からの要請に応じて、集落点検や侵入防止対策を継続するとともに、重点対象地区を2か所ずつ設定し、被害ゼロを目指します。そのために、集落全体が理解した対策や動物行動学に基づいた新技術の導入を進めます。また、サルやシカの生息範囲をGIS技術で明確化し、最適な罠の設置場所を特定して捕獲効率を高めます。さらに、活動成果を地域住民や関係者に分かりやすく説明するために現地見学会などを開催し、中間支援組織への参画市町を増やして体制の強化を図ります。

4 治水対策の推進について

(1)今後の治水対策について
平成30年7月の豪雨と令和3年7月・8月の豪雨による浸水被害があり、これまでの災害復旧の取り組みにも関わらず、再度被害が発生したことが深刻な問題となっています。このような水害の頻発や再被害の可能性に鑑み、現在の治水対策の評価と今後の具体的な施策について伺う。

答弁者:土木建築局長

本県の治水対策は、人口・資産の集積や過去の浸水被害を考慮して計画的に整備してきました。しかし、平成30年7月と令和3年7月・8月の豪雨による甚大な浸水被害が発生し、治水安全度の向上が喫緊の課題となっています。そのため、被災箇所の原形復旧だけでなく、周辺地域も含めて一体的かつ重点的に整備を行っています。また、激甚化・頻発化する水害に対応するため、雨水貯留施設の整備や土地利用規制、河川監視カメラの設置など、流域全体での協働による「流域治水」を推進しています。今後も国や市町との連携を図りながら、再度災害防止を含む総合的な治水対策を進めていきます。

(2)西高屋駅周辺における河川改修について
西高屋駅周辺の河川改修について、東広島市で発生した浸水被害に関連し、入野川と宮領川の改修進捗状況および令和6年度の取り組みについて伺う。

答弁者:土木建築局長

入野川の河川改修は、西高屋駅南口駅前広場整備と連携して400メートルの区間で進行中。杵原川合流点と宮領川合流点周辺で工事実施中で、令和6年度に左岸側の拡幅が完成予定。また、令和6年度に右岸側の工事を開始し、上流区間の対策方法を検討する予定。

5 南海トラフ地震等の災害に備えた県土強靱化の取組について

(1)津波・高潮対策について
津波・高潮対策について、南海トラフ地震などの自然災害の危険性が高まる中、本県の津波・高潮対策の現状と今後の取り組みについて伺う。

答弁者:土木建築局長

本県の津波・高潮対策では、「ひろしま海岸防災プラン2021」と「ひろしま川づくり実施計画2021」に基づき、浸水被害があった地域の護岸整備やゼロメートル市街地の耐震化を進めています。具体的には、広島港海岸や廿日市海岸など6地区の海岸整備、広島市の京橋川や猿猴川、福山市の藤井川など5河川の整備を進めています。今後も「国土強靭化のための5か年加速化対策」を活用し、県民の安全・安心確保に全力で取り組んでいきます。